・・・ここはどこだ?
真っ暗だ・・。何も見えない・・。
・・・?・・いや・・何か見える・・。
何かが・・動いてる?
俺はその方向へ足を運ぶ。
振り下ろす。
飛び散る。
切り刻む。
飛び散る。
叩き潰す。
飛び散る。
・・・・・・ナ ン ダ コ レ ハ ?
俺は何を見ているんだ? ここはどこだ?
・・・・・・ナ ン ダ コ レ ハ ?
見るも無残な光景。
飛び散る・・赤。
赤。赤。赤。
・・・・・・・・赤。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
朝っぱらから俺はとんでもない奇声を発していた。
「圭一!?どうしたの!?」
お袋が俺の元へとんでくる。
・・・俺は汗をかいていた。全身がベタベタだで・・気持ち悪い・・・・。
息もかなり荒々しい。 なんでだ・・?
・・・そうだ。
俺は・・夢を見てたんだ。
「・・・何の夢だっけ・・・。」
・・思い出せない・・。俺は何の夢を見たんだ・・?
「・・おはよー。」
「おはよう。・・どうしたんだ圭一。汗でびっしょりじゃないか。」
「うん・・。何かの夢を見たんだけど・・思い出せなくてさ・・。」
「・・・とりあえず、そんなに汗をかいているんだから、水分を補給してシャワーを浴びなさい。」
「へーい・・。」
俺はコップを取り出し、水をそそぐ。
そして、その水を一気に飲み干した。
荒々しく飲んだので、口元からかなり水がこぼれた。
俺は腕でその口をぬぐう。
・・・アレ?
俺が見た光景。それは・・普通じゃありえない光景。
ぬぐった後、まだ湿っている腕を見る。
・・・・・赤い。
え・・?俺が飲んだのは水だろ・・?
何で・・赤いんだ・・?
ザ・・ザザー・・ザザー・・・・
俺の頭の中に・・ノイズがかかる。
ノイズ交じりに俺の頭の中にイメージが浮かんでくる・・。
赤。赤。赤。
・・やめろ・・。
やめてくれ・・。
思い出すな・・。
思い出さなくてもいい事だ・・。
やめろ・・!
やめてくれ・・!!
思い出すな・・!!!
「思い出すんじゃねぇぇぇぇ!!!!」
ハァ、ハァ・・・。
お・・おさまった・・。
今・・俺は完全に記憶の復元を拒んだ・・。
それほど・・恐ろしい夢・・。
さっきまで思い出そうとしていた自分が信じられなかった・・。
「ど・・どうしたの圭一!?」
「大丈夫か!?」
両親が心配そうに見ている。
そりゃそうだ・・。
今ので二回目だもんな・・大声だしたの・・。
「あ・・うん!・・だ・・大丈夫だよ・・!」
「そ・・そう・・?・・・あら・・?圭一。口から血が出てるわよ。」
「え・・?」
本当だ・・。
俺の口元から血が流れ出ている。
・・・なんだよ・・驚かすんじゃねぇよ・・。
ふぅ・・・。
一息つく。その時。
一瞬。
一瞬だけ目に入った光景。
それが信じられなくて・・俺はもう一度見る。
自分の腕を。
アレ・・?
赤く・・ない・・?
本当に・・血がにじんだ程度だ。
透明な水がわずかに赤く染まっている。
コンナニ・・トウメイダッタッケ・・・?
真っ赤な液体・・。
俺が見たもの。
ザ・・・ザ・・・ザー・・ザザー・・
再び・・ノイズがかかる・・・。
落ち着け・・。
己を見失うな・・。
冷静になれ・・!!!
「クールになるんだ!!!前原圭一!!!」
叫ぶ。
両親がこっちを見てる。
「・・・シャワーあびてくるよ・・。」
俺は汗を流すため、風呂場へ向かった。
「ふー・・さっぱりした!」
すっかり汗を流した俺は、制服を着て、学校へ向かう準備を整えた。
そういえば今日はいやに早起きだな・・。
ま、しょうがないのかもしれないが・・・。
「圭一、ご飯どれくらい欲しい?」
「大盛りで!」
「大盛りね。 ハイ、どうぞ。」
「サンキュ!」
今日もうまそうな朝食だ。腹が減っていたのでさっさと食うことにした。
「うまい!今日の朝飯も最高だぜ!」
「あら〜うれしいこと言ってくれるわね。」
「本当のことを言ったまでだぜ!」
忘れたかった。
さっきまでの出来事を。
だから、無理矢理元気を出した。
「そうそう圭一。 口、大丈夫なの?」
「・・!!!・・。あ、うん。大丈夫。ちょっと口の中を噛み切ってたんだ。」
「そう・・?ならいいんだけど・・。」
・・・普通の親子の会話だ。
息子が口から血を出していた。
ならばどんな感じなのかを聞くのは親として当然だろう。
だが、今の俺にはこれ以上ないくらいに不快な言葉だった。
ピンポーン
!!
「あら〜・・レナちゃん来ちゃったわよ? ハイハーイ!今出ますねー!」
もうそんな時間か・・!!
お袋とレナが何か話し込んでいる。何を話してるんだろう・・。
俺は急いでまだ残っていた朝飯を胃の中に収めて、かばんを取って来る。
「待たせたなレナ! 学校行こうぜ!」
「うんっ!」
「レナちゃん。圭一の事、よろしくお願いしますね。」
「ハイ!」
・・・・よろしくお願いしますって・・・。
何の話をしてたんだよ・・。
「ほら!さっさと行こうぜレナ!」
「う・・うん!!」
「いってらっしゃーい!」
「いってきまーす!」
その後は、魅音と合流して学校へ向かう。
この頃の俺の頭の中には、俺をさっきまで苦しめていた物の事など、頭の中から消えていた。
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