チチチチ・・・チチチ・・・・・・・。

小鳥のさえずり・・・・。  ・・・・朝か・・・・・。


「・・・。・・こっちに来て・・・もう二日経つんだよな。」

・・本当に時ってのは進むのが早いなぁ・・・・。
ちなみに今、俺は梨花ちゃんの家にやっかいになっている。
神社の掃除なんかを手伝おうと思ってもいたりする。

「・・・・・ん・・・?」
口の中が・・・あれ・・?


ポタッ


「んん・・?・・・・・・?」

口から血が流れていた。・・・どうやら、また口の中を噛み切っていたらしい。

「・・そういや・・前に水が真っ赤に・・・なんて事があったな・・。・・・あれ・・何だったんだろう・・。
 直前に見た悪夢・・・。あれが関係してるのか・・?」

あの時俺が見た光景。 水をコップにそそいで・・それを一気に飲み干した。こぼれた水をふき取ったら・・赤かった・・。
直前にも俺は赤に染まってゆく夢を見ている。
・・・。何か・・関係があるのか・・?

・・・。分かんないなぁ・・・。
・・考えても仕方ねーか・・・。




俺は寝巻きから普段着に着替え、外に出た。もちろん、掃除をするためだ。
「ふっ・・・!・・ああー・・・。いい朝だなー。」
大あくび兼背伸びをして、ほうきを蔵から出し、神社の階段をあがってすぐの所を掃除する。
この場所に鬼ヶ淵死守同盟のテントやらが立っている事から、なんとなく優先してやった方がいいのかな、と思ったからだ。

サッ   サッ   サッ  

ほうきで地面を掃く音が境内をこだまする。


「あら。おはよう圭一君。」
「おはようございます。 庭の掃除は俺がやっときますんで、どうぞ休んでいてください。」
「ありがとう。じゃ、私は腕によりをかけて朝食を作るわね。」
「楽しみにしてます!」



サッ   サッ   サッ




サッ   サッ   サッ



「よーし・・。掃除完了ー!」
「圭一くーん!ご飯できたわよー!!」
「はーい!」
よし!グッドタイミングだぜ!

俺は掃除道具を片付け、梨花ちゃん達の待っている食卓へ向かった。

「おはようございます。」
「おはよう。圭一君。」
「みぃ。おはようなのですよ。」
「おはよう。梨花ちゃん。」



「「「「 いただきます。 」」」」


「うまいっすねー!漬物もうまいし!味噌汁も最高だ!やっぱ日本の朝の食卓はこうでなくっちゃ!」
「うふふ。圭一君、お上手ね。」
「真実を述べたまでです!」
「まぁ。」

「アハハハハハ」


笑いが立ち込める。
・・・やっぱり家族でテーブルを囲って飯が食えるのって・・いいものだな・・・。
みんなで食う飯は最高にうまい。
この家庭は笑顔であふれている。
そう・・。笑顔で・・・。




ド  ク  ン ・ ・ ・ ・ 。



「ダム反対運動に消極的だった古手神社の神主さんが原因不明の奇病で急死。奥さんはその日のうちに入水自殺したわ。」


・・・・・。



ドクン。
ドクン。


「神主さんが奇病で急死。奥さんは入水自殺。」

ドクン。
ドクン。


「急死。  自殺。 」



「う・・・あ・・あ・・・・。」



ドクン。
ドクン。



ポフ。
なでなで。


「圭一・・・大丈夫ですか・・・?」

梨花ちゃんが心配そうな顔で俺の顔を覗き込んできた。

「あ・・・うん・・・。」
「・・圭一・・。すごい眼をしているのですよ・・。本当に大丈夫ですか・・?」


「・・・眼・・・・?」

「圭一君・・本当に・・大丈夫・・?」


俺は・・今・・・・どんな眼をしているんだ・・・?

ドクン。
ドクン・・。
ドクン・・・。
ドクン・・・・。

ド   ク   ン   。


「・・・あれ・・・・?」

誰かがいる・・。
部屋の隅で・・こっちを見てる・・・。


ド   ク   ン   。


まばたきをした。
その部屋の隅にいた奴は・・・いつの間にかいなくなっていた。

「圭一・・?本当の本当に大丈夫なのですか・・・?」
「あ・・ああ。・・もう大丈夫だ。」
「・・眼も元に戻っているのですよ。」

「そうなのか・・?・・・実感無いな・・・。」

・・・・さっきいた奴は・・誰だったんだろう・・・。

「圭一・・?どうかしたのですか・・?・・・まだ・・具合が悪いのですか・・?」
「・・いや・・・。・・そこに・・さ。誰かがいたような気がして・・。さっきまでいたと思ったんだけど・・いつの間にかいなくなってた・・。」
「・・・・圭一・・・・。」




朝食を食った俺は、村長さんの下へ行くことへした。
この村を守るなら、御三家とは顔をあわせていたほうがいいと思ったからだ。

しばらくは村の風景を楽しみながら村長さんの家へ向かった。
雛見沢はいつの時代でも雛見沢なんだな・・・・。

「ここか。」
村長さんの家へ到着した俺は、いざ来てみたはいいが、何をすれば分からなかった。・・・とりあえず名前を呼んでみることにした。

「公由さーん!公由村長さーん!!」

すると・・・。中から村長さんが出てきた。
・・?・・どこかに行くのか・・・・・?
何というか・・着ている服が作業服のような・・とにかく、動きやすそうな服だ。

「・・・君は・・・・?」
「あ・・!は・・初めまして!・・俺、前原圭一っていいます。」
「・・・前原・・圭一・・・?・・・聞いた事がないなぁ・・。新しく引っ越して来たのかい?」
「その辺は・・その・・色々あって・・。・・と、とにかく、俺はこの雛見沢を守りたいんです!だから・・・協力させてください!!」
「ん・・?どうしてだい?私はずっとこの村で村長をやっているが・・君はここに来たことすらないのじゃないのかい?」

「俺は・・この村を守る。雛見沢は・・俺の灰色だった人生に色をつけてくれた所だ・・。・・それに・・約束もした。必ず守るって・・。俺はこの村を守る。そう誓った。・・だから・・!!!」

俺が言葉を発しているとき・・周りの音が聞こえなくなった。・・俺だけかもしれないが・・その時は他の音は一切聞こえなかった。
俺の眼はおそらく・・例の眼だろう・・。


「・・そうか。味方が増えるのはこちらとしてはありがたい。よろしく頼むよ。・・・君の決意は本物のようだしね。」
「・・・はい!」

よし。とりあえず第一段階終了だ。
・・・・次・・・。

「あの・・!村長さん・・!!」
「なんだい?」
「口げんか・・って言ったらおかしいんですけど・・口先で勝負する事になったら、すぐに俺を呼んでください!
 俺は・・運動神経がいいわけでも・・力が強いわけでもないですけど・・口先の勝負なら負けません。」

「そうかいそうかい!その時はよろしく頼むよ。今私達に一番欲しい要員だ。」

「はい!まかせてください!」

よし・・気分も落ち着いてきた・・。
もう・・例の眼じゃないだろう・・。


「おじいちゃーんっ!」


「・・・ん・・?声が聞こえる・・。」
「おじいちゃーん!!」
「み・・魅音!?」
「あ、圭ちゃんもいたんだ。」
「二人とも知り合いなのかい?」
「うん。まぁね。」
「・・そうだ。魅音ちゃん。私に用があるんじゃなかったのかい?」
「あ!そうだった!」


その後はしばらく二人で話し込んでいた。
どうやらダム戦争の事についてらしいな・・・。・・だが・・・・俺には何のことだかさっぱりだ。 

「圭一君!」
「は・・はい!」

「さっそくだが・・頼んでもいいかい・・・?」


「・・・・はい・・。」


さっそくか・・!
望むところだ!!

この村を守るんだ・・!
そのためなら・・・何だってしてやる!!

「そうだ!おじいちゃん!物置に金属バットがあったよね。前に私が置いて帰ったやつ。」
「あ・・ああ。あるよ。」
「よし!」

魅音が走っていく。
金属バット・・?

「圭ちゃん!これ、あげるよ。護身用に持っといて!」
「お・・!サンキュー!」
「物騒だからね。それくらい持っといた方がいいと思って!」


「・・上等だ!・・暴れてやるぜ!!」

「それじゃあ、二人とも。・・・行こうか。」

「「 ハイ! 」」

村長さんの車に乗り、戦闘場所へと向かう。
・・・よし!!
最初の手柄を立ててやるぜ・・!!!




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