「ふあああ・・・・・。」
大あくびをした。 昨日色々あったからな。さすがに疲れたのだろう。 ぐっすり眠っていた気がする・・。
「ねむ・・・。  ・・・ん・・? 何か・・布団に・・。」
「みぃ・・・?もう朝ですか・・?」



ピシ



一瞬がちがちに固まってしまった。 何で・・?

「な・・なんで梨花ちゃんが俺の布団の中にいるんだよ!?」
「みぃ。大活躍の圭一のそばで寝たかったのですよ。 にぱ〜☆」
「うっ・・!!うう〜・・レナの気持ちが分かるぜぇ〜☆」




「さぁーて・・。今日も元気にいくかな!  そだ・・!梨花ちゃん、おはよう。」
「みぃ〜☆おはようございますです☆」


サッ     サッ      サッ


今日も元気に庭掃除だ。 梨花ちゃんも手伝ってくれたのでいつもより早く終わった。
しかし、キレイになると楽しくなるから不思議だな。そうじなんて、めんどくさいなぁとしか思っていなかったのに。
今日は早く起きたので、ついでに草も毟っておいた。
その甲斐あってか、普段俺がご飯に呼ばれる時間には大分キレイになっていた。

「圭一くーん! ご飯できたわよ〜!!」
「はーい!」

・・・・。
今じゃこれが当たり前だ。 そう思うと・・家族が恋しくなってくる。
「母さん・・父さん・・今頃どうしてるのかな・・。」
本当は未来の話なのだから、「今頃」というのはおかしいのだが・・。本当にどうしているんだろう・・。
俺の時間は昭和58年の綿流しの祭りから止まったままだ。
今こうして生活しているが、それは昭和53年なのだから、58年以降はいないことになる・・。

「・・そういえばあいつ・・何者なんだ・・?」

ふと、祭具殿から出てきたもう一人の俺を思い出した。あいつは何者なんだろう。俺そっくりの容姿。
ドッペルゲンガーに会うと*じまうって話を聞くけど・・。こうゆう事なのかもしれないな・・・・。
昭和58年以降の俺は「あいつ」だ。
それなら・・・・「俺」はどうなるんだろう。昭和58年まで過ごしても「あいつ」がいる・・。
このまま・・消えちまうのかな・・・。



「みぃ〜っ!圭一ー!! 早くなのです〜っ!」
「お おうっ!分かったー!!!」

いけないいけない。 俺は今人を待たせているんだった。早く行かないとせっかくのご飯も冷めちまう。
そして朝ごはんを食べた。

「「「「いただきまーす!」」」」

「圭一、今日はどうするのですか?何か予定ありますですか?」
「今日は特に予定は無いけど・・?それがどうかしたのか?」
本来なら学校に遅れちまうから朝ごはんを食べ終わってレナとの待ち合わせ場所に行ってる頃だ。
だが今はそれどころじゃないからな。学校もお休みみたいだ。 
「みぃ、それならば今日はボクとお散歩に行くのですよ。日なたぼっこもするのです。にぱ〜☆」
「散歩かぁ。 それもいいかもしれないな。ここんとこあんま心を休めたことがなかったからな。」
それに、どうせ今日はする事はない。村長さんに「少し休みなさい」と言われて今日は休日だ。
しかし、毎日毎日部活で鍛えていたから、いざ何もすることがなくなると本当にする事がなく、そして暇だ。だから俺が梨花ちゃんの提案に賛成するのに時間はかからなかった。
「よし!じゃあ散歩に行くか!よろしく頼むぜ梨花ちゃん!」
「みぃ。りょーかいなのです。」

「圭一君。梨花のこと、頼みますね。」
「はい!まかせて下さい! この前原圭一、命に代えても梨花ちゃんを守り通します!!」
「まぁ。」

そして笑顔で包まれる・・。3年後が来ない事が望ましいのだが・・・。


「ごちそうさまでした。」
「はい。おそまつさまでした。」

「よーし梨花ちゃん行こうぜ! 5年前の雛見沢の自然を目に焼き付けてやるぜ!」
「みぃ!」




ミーンミンミンミン・・・ミーンミンミンミン・・・。



セミが鳴いているな。 アブラゼミ・・かな? 昼はアブラゼミ、夕方はひぐらしの合唱か・・。
きっと都会にいた頃の俺ならこの鳴き声は耳障りな雑音以外の何でもなかっただろう。
だが、今はとても心地よく聞こえる・・。 ここに来てからまだそんなに経つわけじゃないが・・ここはもう俺の故郷だ。
そりゃ、やかましいっちゃやかましいのだが・・。 やっぱりここは俺の故郷なんだな、と改めて思う。 セミ達の合唱が心にしみる・・。

「どうだ梨花ちゃん。楽しいか?  ちなみに俺はとても楽しいぞ。」
「ボクもとても楽しいのですよ。 にぱ〜☆」
「そっか!」

・・・。
守らなきゃな・・。 絶対に!!


「圭一。 ちょっと眠くなっちゃったのです・・。お昼寝するのですよ・・。」
「え? 眠いのか? そうだな。 えーと・・・。」

・・そっか。そういえば今の梨花ちゃんは4〜5歳だもんな。 眠くなっても無理ないか・・・・・。
「今日は結構日差しが強いし・・そこいらで寝ちゃ熱中症になっちまうしな・・。」
「みぃ・・。」
「お!ちょうどいいところがある! 梨花ちゃん。あそこでちょっと寝ようか!」
「みぃ。 眠いのです・・。」

俺はベンチがあり、屋根もついている場所へ梨花ちゃんを誘導した。ここなら日差しも屋根が遮ってくれるし、風邪も吹いてくる。
ここはバス停かな? それっぽい看板が隣に立っている。 中は・・何やらお札みたいなのが貼ってあるな・・。
まぁいいか・・。 今は梨花ちゃんが安心して眠られる場所を提供するだけだ。

「おやすみなさいなのです・・。  みぃー・・。 みぃー・・。」
「はは。 おやすみ。     ・・・ふあぁぁ・・。 俺もちょっと寝るか・・・。 ・・クー・・・。」


ミーンミンミンミン・・・。  ミーン ミンミンミン・・・。


「みぃー・・・。みぃー・・・。」
「クー・・・・。クー・・・・。」


ミーンミンミンミン・・・。  ミーン ミンミンミン・・・。






一時間後・・・。






ブロロロロ・・・。 バタン!    ブロロロロ・・・・。


「ここが雛見沢か・・。 ・・・ん・・?」

「みぃー・・・。みぃー・・・。」
「クー・・・・。クー・・・・。」

「ははっ。 兄妹かな? ほほえましいなぁ。」

男は二人を見つめてそう言った。バス停の中では二人の寝息が静かに響く・・・。
「・・・かわいいなぁ・・。」


「みぃー・・・。」
「・・・・・・。」
「みぃー・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・みっ!?」
「・・あっ・・!」

ガタッという音と共に梨花はイスから落ちた。男はそれを受け止めようとしたが、少し遅かった。

「みぃー・・。痛いのです・・。」
「あ・・大丈夫かい・・? 頭から落ちてたけど・・。」
「みぃ?」(梨花ちゃんは青で表します。)
「・・・・・・・・。」
「みぃ。」
「・・・・・・・・。」
「みぃ?」
「・・・・み・・・みぃ。」
「みぃーみぃー。」
「・・・みぃーみぃーみぃー。」
「みぃー?」
「み・・みー。」


「ん・・・くあああぁぁぁ・・・。 ・・よく寝たぜ・・。  ・・・・ん・・・?」

「みぃ。」
「・・みぃ。」
「みー。」
「・・み・・みぃ。」


「・・・・・・・・何やってんですか?」
「・・・はっ!!!」
「みぃ。」


「あ・・・君は・・圭一君だったよね?」
「・・・はい・・。・・・!? な・・何で俺の名前を知っているんですか!?」
今までは俺の名前は知られていて当然だった。 だから反応が一瞬遅れてしまった。だが今いる時代は昭和53年だ。知っている人はまだそんなにいないはず。

「はっはっは!この前思いっきり言っていたじゃないか!」
「え・・!?じゃ・・じゃあ・・あの時顔を隠していた人って・・あなたなんですか!?」
「うん。 そうだよ。」
「・・そういえば何でまた顔を隠していたんですか?」
「あ・・ああ。大石さん・・知ってるよね?彼に「雛見沢に入るならどうですか?」って言われて、お言葉に甘えさせてもらったんだ。
 だけど、車に乗せてもらうやいなや、顔を隠せって言われたのさ。だからだよ。」
「ふーん・・。」

この人・・嘘・・ついてやがるな。 俺は眼を変え、こいつをじっくり見ていた。
どうやらこの眼の時は動体視力なんかも上がるようだな。 こいつが一瞬・・動揺したのが分かった。

「私の名前は赤坂衛だ。 よろしく。」
「よろしくお願いします。」

この頃には俺は「眼」を引っ込めた。あまり人に見せたくない・・。鏡で見てみたが、かなり目つきが悪くなるからな。
鏡を見て自分で驚いてしまった。 ・・・思い出したくもない・・。

「ボクは古手梨花といいますです。 よろしくなのですよ。」
「よろしくね。梨花ちゃん。」




「赤坂さーん!」
「お・・迎えが来たようだ。 こんにちわー!」
「すみませんね・・!遅れちまって・・!!」

軽トラになった人がこちらに来た。 この人を迎えに来たらしいな。

「おや・・?梨花ちゃまじゃありませんか・・! ありがたや ありがたや・・!!」

「・・・何だ? 梨花ちゃんっていつもこうなのか?」
「みぃ。そうなのですよ。」
「ありゃ。前原さんもいるじゃあありませんか・・! 赤坂さん。あんた運がいいよ!」
「は・・はぁ・・。」
「あの・・俺ってもうそんなに知れ渡っているんですか? まだここに来てそんなに経ってないと思うんですけど。」
「公由村長さんが御三家の会議で君の事を話してね。 それからは結構知れ渡っているんだよ。」
「へぇー・・。」
・・なんだ。じゃあ赤坂さんが知ってても別に不自然じゃなかったな。

「牧野さん。 そろそろ いいでしょうか・・?」
「ああ!すんませんね! どうぞ乗ってください。」
「牧野。 ボクもつれてって欲しいのですよ。」
「ええ!? ・・でも、一緒に来たっていいことなんてありませんよ?」
「みぃ〜・・・。」
「あの・・牧野さん。一緒に来てもらっては駄目でしょうか・・?一人で回るよりは楽しいと思うんです。」
「・・・そうですかぁ・・? ・・・それじゃあ・・梨花ちゃまも行きますか!」

「・・あの〜・・俺も行ってもいいですか?」
「ああ!こりゃ失礼。 どうぞ、前原さんも。」

勝手に話を進めるもんだから、俺だけ取り残されるところだった。 危ない危ない。
しかし、梨花ちゃんもいいことを言ってくれた。 俺も赤坂さんについて色々調べてみたかった。
「牧野さん。お仕事なんですか?」
「いいえぇ。村を観光したい若者を案内してくれって言われましてね。」
「みぃ。村を観光したい・・若者ですか?」


「・・・こいつ・・・。」


一瞬。  その一瞬に俺は眼を変えた。・・というより、反射的に変わった。
見逃さなかった。その一瞬。 また赤坂さんが動揺したのを。 


・・・。
大石さんと一緒にいたって事は・・この人はおそらく警察・・。 
それも、まだ新米だな。 俺達の言葉にいちいち動揺しすぎだ。大石さんならこうはならないだろう。
・・・何でだ・・?
警察ならこんな回りくどい方法で潜入捜査なんてしなくてもいいはず・・。 ・・となると・・・。

おそらく秘密裏にされてる事だな・・。 何だ・・? 何を捜査しているんだこの人は・・。
調べてみたい。 調べてみたい・・!!

「あの・・!赤坂さん! お願いがあるんですが・・!」

警察なら大丈夫だろう。 そう思って梨花ちゃんをお願いしようとした。

梨花のこと、お願いしますね。

「・・何だい? 圭一君。」

「・・・いえ。ごめんなさい。 何でもないです。」


危ない 危ない・・・。  梨花ちゃんのこと・・まかされてたじゃないか。
それに赤坂さんが警察だというのはあくまで俺の推測だ・・。 証拠があるわけじゃない・・。
ちくしょう・・。自分のバカなところにはには呆れるぜ・・・。


その後は軽トラで移動しながら、雛見沢の大自然を見て回った。 本当にいいところだ。

「・・いいところですね。」

「はっはっは!そうでしょう? 私達は負けませんよ。・・あなたも、知り合いにでもこの雛見沢がすばらしいところだって
 伝えてもらえませんかねぇ? 一人でも雛見沢のすばらしさを知る人を多くしてもらえれば助かりますよ。」

「・・はい。 分かりました。」

「・・次は・・ここでしたね。  どうぞ。」
「ありがとうございます。」


カシャ      カシャ  


「赤坂は変な人です。 こんなのが面白いのですか?」
「うん。私は写真を撮るのが大好きでね。 こうゆう自然あふれるところを撮影するのが好きなんだ。」
「富竹2号なのです。」
「・・・富竹・・?」

赤坂さんがきょとんとしている・・。 まぁ、いきなり富竹とか言われてもねぇ・・。

「・・・そういや富竹さん・・俺のこと知ってたな。 って事は、これから俺は富竹さんと会うって事か。」

「ずっとこの村にいると分からないかもしれないけど・・。こんなすばらしい村を、雪絵にも見せてあげたかったなぁ・・。」
「・・・キレイなのです・・。」
「本当だ・・。 すごく・・キレイな人ですね。」
「ありがとう。 妻の雪絵だ。」
「ご一緒じゃないんですか?」
「雪絵は生まれつき体が弱くてね。今は病院に入院していて、出産を控えているんだ。」
「・・・・。」
「そりゃいけねぇだよ!!」
「・・え?」
「奥さんそんな状態なのに、こんなところに来ていていいんですかいあんた!」

「・・あ・・!いや、ここに来るのは前から決まっていたので・・!それに妻には、家族がついてますから。」
「そんなら・・いいけど・・。」



・・・・・。 間違いないな。この人は刑事だ。
普通の人は出産控えた奥さんほっぽりだしてこんな所に来るわけがない。 ・・赤坂さんは・・刑事。

「それじゃあ、とっておきの場所に案内しましょうかね!」
「みぃ。ボク達のおうちにご招待なのです!」
「とっておき・・?梨花ちゃんの家が?」
「古手神社ですよ。高台からの景色がとてもキレイなんですよ。」
「・・圭一君もそこに住んでいるのかい?」
「・・え?何故分かったんですか?」
「梨花ちゃんがボク達って言ってただろ。だから・・ピーン とね。」
「・・・さすがですね。」

俺はわざと聞こえるように言ってやった。 赤坂さんは驚いたような顔をしている。

「赤坂さん・・ あなた・・

「おーい!!二人ともー! 置いていきますよー!」
「はーい!! 行きましょう赤坂さん。」
「あ・・うん・・。」

・・・・・・・。 古手神社で景色を見たら推理を聞かせてやろうかね。 驚いた顔が目に浮かぶぜ。


「着きましたよー!」


・・あまり気にはしていなかったが・・やはりすごいな。あちこちに「ダム反対」とか「雛見沢から出て行け!」というような看板が立っている。
「神社はダム反対運動の事務所も兼ねてましてね。赤坂さんは学生運動みたいで懐かしいでしょう?」


「・・いいえ。」


「私は別に活動家ではありませんし、国の政策に暴力で反対するのには同意できません。」
「・・ほー・・。あんた・・立派な意見をお持ちだねぇ・・。」
「製作に反対するなら正当な手続きをすべき・・
「赤坂が何を言っているのか分からないのですよ。」

・・・梨花ちゃんが制した。

「梨花ちゃんには難しかったかな。 日本は平和の国だから、暴力に訴えるのはよくないって事だよ。」

「・・・では赤坂。 ・・ボク達の村は・・どうやったらダムに沈まずにすむのですか?」
「・・梨花ちゃん・・。」
「梨花ちゃま・・・・。」
「ボク達は都会では生きていけませんです。ここでしか生きていけないのですよ。」
「・・あ・・・・。」



・・・赤坂さん・・ずっと下向いて何か考えてるな・・。 ・・無理もないか・・。

「申し訳ありません・・。よそ者が気安く言えることではありませんでした。」
「・・へへ・・気にしないでくだせぇ。」


「その通り!!」



俺は大声を出した。 ・・・上の人たちにも聞こえるように。

「俺は・・赤坂さんの意見も一理あると思います。正当な手続きをすべき・・たし

かにその通りだ!」



みんな驚いた顔をしてこっちを見てる。 ・・まぁ、いきなり大声だされたらそうなるわな・・。


「だけどそれをしようとしても国は対応してくれない! 

   
        ならばどうするか!?」



・・・そう。


「暴力・・という手段もあります!しかし俺はそんなの反対だ!!」




「俺が口先一つで雛見沢を守ってやる!! 誰も犠牲にならない手段で己を貫き、

この村を守る!!!」





・・・・・・・・。
どうやら俺が大声を出すとあたりはシンとするらしい。

・・・・・・・・。
・・・・・・・・。




「よく言ったぞ前原の坊主!」

上の方から声が聞こえる。

「期待してるぜ!! この村を守ってくれよー!!!」



へっ・・! うれしい限りだぜ!



「まかせてくださーい!!」



「 ・・・圭一君。 ・・君はすばらしいね。」
「・・・どうも。 俺の実力は知ってますよね?」
「ああ。 あの大石さんを言い負かすなんてね。」


・・・・赤坂さん・・まだまだだな。 あの大石さん・・って事は大石さんがかなりのやり口だと知ってるて事だ。
観光に来た若者がそんな事知ってるもんか。 ・・・・・甘いなぁ・・この人・・。

俺達は階段を上り、神社の境内に入っていった。 上がりきるなり俺はそこいらにいたじーさん達に捉まり、身動きが取れなくなってしまった。



「・・・ん? 梨花ちゃんと赤坂さんがいないなぁ。」
「あの二人なら、高台からあの絶景を見ているよ。」
「ああ。 あれはキレイですよね。」

村長さん達との会話も自然になってきた。 本当にこの村は人を受け入れるスピードが速い。

「梨花ちゃまー!お客人ー!お茶が入りましたよー! お饅頭もありますよー!!」


赤坂さんと梨花ちゃんが戻ってきた。 ・・・? 赤坂さんの様子が・・変だ。
・・・・何かあったのか? ・・何があったんだ・・?

「赤坂さん・・? 何かあったんですか・・?」
「圭一・・君・・。」




「・・梨花ちゃんが・・? ・・・そりゃあ・・また・・意味深ですね・・・。」
「信じてくれないかもしれないが・・・。 私は東京から来たんだが、圭一君は知っていたかい?」
「・・・・いえ。そもそも・・赤坂さんどこから来たなんていわなかったじゃないですか・・。」
「彼女は・・私が東京から来たことを言い当てたんだ・・。」
「な・・・!?」
「本当なんだ。 ・・なぜかは分からない。・・ただ一言・・「東京へ帰れ」って・・ね。」
「・・赤坂さん。 ・・・東京・・帰った方がいいと思いますよ。」
「圭一君も・・かい。」
「ええ。 こんなところに警察が来たら・・何をされるか分かりませんよ・・?」
「・・・!?な・・何を・・言っているんだい?」
「・・・。気づいてないとでも思ってたんですか?・・あなた、まだ刑事になって一年も経ってませんよね?」
「・・・なぜ・・分かったんだい。」
「少し考えれば分かりますよ。」

その後は俺の推理ショーの始まりだ。 ・・・やっぱり当たっていたようだ。

「赤坂さん・・。一応潜入捜査してるんですから、自分の身元を教えるような発言しちゃ駄目ですよ。」
「ははは・・・。気をつけるよ。」






日が暮れる・・
今日もひぐらしが鳴いている・・・・。







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