トトトトト!!!


朝から古手神社に響いていた足音。例のごとくぺたぺたな感じではなく、荒々しい足音である。
足音が響いているのはもちろん原因がある。ある少女が探し物をしているのだ。彼女に光を照らした存在を探しているのだ・・。





「母様・・・!圭一を・・圭一を知りませんか!?」
「え? 圭一君? ・・・さあ? お庭の掃除をしてくれているんじゃないの?」
「お庭に居なかったのです・・!圭一がいつも寝ている部屋にもいなかったのです!!」
「圭一君が!? 梨花、本当なの!?」
「本当です!知らないのならいいのです・・!ボクは向こうを探すので、母様はあっちを探して下さい!!」
「わ・・分かったわ!」

圭一・・!どこに行ったの!?
やっぱり前とは違うわ・・。こんな・・圭一がいなくなってしまうなんて・・なかったもの・・!
探さなきゃ・・探さなきゃ!! 今圭一がいなくなったらこの村は沈んでしまう・・!
本来は自分達の手で勝ち取るものだけど・・! 圭一が来た世界では圭一が救うことになっている・・!
そんな世界で圭一がいなくなってしまったら間違いなくこの村は沈んじゃうじゃない・・!!!
「圭一!?どこにいるの!? 圭一ーーーっ!!」
「梨花!」
「羽入!? どう!?見つかった!?」
「あぅあぅ・・だ・・駄目なのです・・!家の中は全部見て回りましたがどこにもいないのですよ・・!」
「ああもうっ!! 圭一!どこなの!?」
「あぅあぅ・・落ち着いてくださいなのです・・。」
「これが落ち着いていられるっての!?圭一が今いなくなったらこの雛見沢はダムの底に沈んじゃうのよ!?」
「落ち着くのですよ!! 圭一がいつも言っていたじゃないですか!! ・・クールになれって・・。」
「・・・・。」





「落ち着きましたか・・?」
「・・ありがとう。 冷静に判断しなきゃ・・ね。」
「その通りなのですよ。」
「まったく・・私ったらあんたが家中探したって言ったのにまた家の中に向かっていたわ・・。本当に冷静さを無くすと自分自身が信じられない行動にでるわね・・。」
「圭一はどこに行ってしまったのでしょうか・・?」
「それが分かれば苦労しないわよ。この境内に居るのかすら怪しいわ・・。」
「じゃあ、圭一はここを出て行ってしまったのですか?」
「・・・いえ。 それは・・ないわ。だって、ここを出て行く事は、圭一には何のメリットもない。」
「そ・・そういえばそうですね。」
「この時代には圭一の家は建っていないのだから、まず住むところがないわ。それに食料もないし、何より彼は家事が出来なかったはず・・。
 そんな事、自分が一番分かってると思うの。
 だからここを出て行ったってのは、例外を除いてはありえないわ。」
「あぅあぅ・・例外って・・何なのですか・・?」
「決まってるでしょ。 圭一の意志と関係なくここから出て行かなくてはならなくなった。
 もしくは誰かが連れ去ったのかもしれない。」
「ゆ・・誘拐・・って事ですか?」
「そうね。脅迫されたか、誘拐されたか・・。どこかに監禁されてるのかも・・。」
「雛見沢の中にまだいるのでしょうか・・?」
「分からないわ。何せ本当に唐突だったから・・。とにかく考えないと・・。今圭一がどこにいるのか・・。」
「あぅあぅ・・。圭一が今いるところ・・圭一・・。圭一・・。 ・・・・・。」
「もうっ・・!どこにいるのよ・・!」
「・・・。 梨花・・。」
「何よ!?」
「落ち着くのです。そしたら・・話すのです。」
「何か・・気づいたの?」
「気づいた・・というのか・・何というか・・。」
「何よ!?早く言いなさい!」

「何か・・・聞こえませんか・・・?」
「・・? 何が聞こえるってのよ。セミが鳴いてるだけじゃない。」
「聞こえます。・・何か言っている。梨花も耳を澄ますのです。聞こえると思うのですが・・。」
「・・・・・。」



「・・・・・い。」


「・・・。本当だ・・何か・・・聞こえる・・・・。」


「・・・さい。 ・・・・さい。」


「何・・?なんて言ってるの?」




















「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんんさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい







「・・・・!!!????」


・・・・私は・・・・唖然とした・・・。
羽入も・・唖然としている・・。
最初は小さかったのに。 ・・・今でははっきり聞こえる・・・・。



「ごめんなさい・・・。」





「圭一いいいいいい!!!!!」





「ハァ、ハァ・・・。圭一!?そこに居るの!?圭一!?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「くっ・・・。何で・・何でこんな所にいるのよおお!?」



私は走った。真実を確かめるために。昨日の夜。何があったのか。全てを知っている人物の元へ向かった。


「父様!!!」



私は怒り狂っていた。 
圭一が祭具殿の中にいたから。 圭一にあの中に入る事なんて出来ない。

・・・つまり・・・。



「ど・・どうしたんだ梨花!?」

「・・・さい。」

「・・何だって・・?」



「開けなさい!!祭具殿の扉を開けなさい!!」


「り・・梨花!?」


「開けなさい!!」


「わ・・分かった・・。」



「どうしたの梨花!?あんな大声出して!?」
「圭一が・・祭具殿の中にいる・・。」
「な・・・なんですって・・!??」
「惨めな声で言っていた・・。ごめんなさい・・って・・。」
「・・・!!!!」






「梨花ー!!」
「どうだった!?圭一は無事!?」
「無事には無事ですが、あの眼にもかかわらずボクが何を言っても聞いてくれないのです・・!
 呪いのように・・ただひたすらごめんなさいって言っているのですよ・・。」


「・・・・!!!!!!」


私は怒った。この時ほど怒った事はないであろうというぐらいに怒った。
自分の父親が圭一を閉じ込めた。断定したわけではないがおそらくはそうだ。 ケイイチヲ・・トジコメタ・・。
殺意が・・私をミタシテイク・・・コンナオヤナラ・・シンデシマエバイイ!!!!
ソウダシンデシマエコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル
コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル
コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル
コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル!!!!!!


「梨花!!」



「・・!」
「落ち着くのですよ。圭一は見つかったのです。・・・そんなこと・・考えちゃ駄目なのですよ・・。」
「・・・ごめんなさい・・。」
「早く行くのです!今は一刻も早く圭一の傍に行ってあげるのです・・! ・・・あんな惨めな声・・もう・・聞きたくないのです・・っ!」
「そうね。・・私ももうたくさんよ・・。 圭一は・・あんなんじゃ駄目なんだから・・。」




ガチャン!!



大きな音をたてて最後のカギが開いた。
祭具殿にはいくつものカギがかかっているため時間がかかってしまった。

「圭一・・!」
「待つのです梨花!!」
「何よ羽入!?」
「・・聞こえないのです。」
「・・え!?何が聞こえないの!?」
「聞こえないのですよ。・・ごめんなさい・・・。」
「・・・!! ・・そう・・いえば・・・。」



ギイイイ・・・



祭具殿の扉が・・開いた。


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