「みぃ。起きるのです。」
「ん・・・?・・誰だ・・?」
「圭一。起きるのです!」
「おわっ!? ・・・何だ・・梨花ちゃんか・・ふぁああ・・。」
「圭一。今日の予定はありますか?」
「ん?・・いや・・?特にないけど・・。」
「そうですか。それはよかったのです♪」

そう言うと梨花ちゃんは去って行った。 ・・・予定を聞いたって事は・・何か俺とするつもりか?
今日何かあるのか・・?
・・・。

「羽入。 そこに居るだろ?」

直感だ。・・なんとなく、そこに居るような気がした。
・・・返事はない。・・・まぁ、あったとしても聞こえないのだが。
「えーと・・・ ・・っ!!」

俺は眼を変えた。昨日の夜、眼を閉じて身体に力を入れてみると、なぜか眼が変わっていたのだ。
・・正確に言えば、眼を閉じて身体に力を入れた後、羽入が見えるようになっていた。だから、おそらく眼が変わったのだろう。
何故変わるようになったのかはよく分からないが・・。

「お!いたいた。 羽入、おはよう。」
「おはようなのです。 ・・そこにいるだろ?とか聞いておいて返事をしたのに無視しちゃいやなのです・・。」
「悪りぃ悪りぃ・・まだ慣れてないんだ。それに眼を変えるのにも時間がかかるし、使ったあと身体が痛むからあまり使いたくないんだよな。」
「・・それなら最初から呼ばなければいいのです。・・・ボクは無視されるのが一番嫌いなのですよ。」
「だから悪かったって。まぁ、こうしていつでもお前と会話できるようになったんだから、それはそれでいいじゃないか。」
「あぅあぅ・・・それはうれしい事なのですが・・圭一の身体に負担がかかるのではあまり・・・。」
「気にすんなって。使う、使わないは俺が決める事なんだから、眼を変えるときは俺が望んで変えるんだ。お前が背負わなくてもいいんだぜ?」
「・・・何だか、今の圭一は優しそうなのです。」
「・・?・・どういう意味だそりゃ・・。」
「いつものように、パッと突然変わってしまった時は圭一の表情はとても怖かったのです。・・でも・・今は優しそうな顔をしているのですよ。」
「・・それは今までこいつが発動した時は感情が高ぶっていたからじゃないのか?たいていの時は俺自身が怒ってる時が多かったし。」
「あぅあぅ・・。でも・・やっぱり優しそうな感じがするのです。事実、今も優しいのです。ボクは優しい圭一とおしゃべりが出来てとてもうれしいのです。」
「・・・ま、いっか。 とりあえず俺は庭の掃除をしないといけないから、もう行くぜ?」
「ボクも行くのです。圭一の後ろにいるのですよ。」
「そっか。じゃあ、もう眼を元に戻すぜ?これあんまり長く使ってると体中が痛くてしんどいから。」
「はい。それじゃあ、また後で・・なのです。」


「よし。じゃあ掃除といくか。」

トン、トン。靴を履き、表へ出る。古手神社は高台の上にあるので、山から出てきた、あるいは沈む太陽を一番に見ることが出来る。
「キレイだなぁ・・・。・・よし!エネルギー充電完了だ。さっさと掃除をすませて朝飯を食おう。」

サッ サッ ・・・


「・・・。 オヤシロ様・・・ ・・眼・・。 ・・・。」

頭の中で整理してみる。

まず、俺がここに来た理由。 梨花ちゃんは単純にオヤシロ様がここに呼んだ、といっていたが、詳しい理由は不明。
次。 何故タイムスリップできたのか。 これも詳しくは分からない。 分かっているのは雷が祭具殿に落ちたこと、その時の羽入の様子がおかしかったこと。
次。 この眼。 何故俺の目は変わるようになったのか。 これも・・分からない。これも梨花ちゃんが言うには・・だが、オヤシロ様が授けたものだと言う。詳しくは不明。
分かっているのはこの眼が変化するようになったのは昭和53年に来てから、そしてこの眼になっている間は運動能力や視力、聴力など、俺の能力が上がる、という事。
次。 あの存在。 昭和58年、綿流し祭。祭具殿から出てきたもう一人の俺。・・これも・・謎だな・・。ドッペルゲンガーに出会うと消えるというが・・こういう意味なのか?



「うーん・・駄目だ・・不明な点が多すぎる・・。何がどうなってるんだか・・。 せめてあと少し情報があればな・・。情報自体が少なすぎる・・。」
考えれば考えるほどに分からない。
俺は夢を見ているのか?

夢でした!で済めば何といいことか・・。だけど、今土を踏みしめている感触だってある。起きているという感覚だってある。
そして何より・・・・・ここにはぬくもりがある。
雛見沢は誰でもすぐにとけこめる。 転校してきたばかりの俺もそうだったし、この時代に来た俺もそうだった。
・・色々あったが、古手家の人のぬくもりだって感じている。・・調子のいい話だが・・。
あれからずいぶん経つ。 今・・母さん、父さんは・・・仲間達は・・何をやっているんだろうな・・・。


「圭一ー。ここにいましたか。」
「ん?どうした梨花ちゃん。」
「祭具殿の前にいるから探すのに苦労しましたですよ・・いつもは正面の方を掃除してくれていましたから・・。ボクはまた圭一が居なくなってしまったのかと思ってしまったですよ・・。」
「悪い悪い。ちょっと考え事をしていただけなんだ。色々・・・な。」
「・・? ・・・・何をしているのですか?」
「・・? 何をしているって・・どういう意味だ?」
「・・・・・・羽入。」
「・・え?」

何だって?羽入が何かしている?何をしているんだ? 
・・しかし最後に羽入って言った時の梨花ちゃんの声・・まるで呪いでも言ってるかのような声で・・・。

「だああああ!!??な・・何をしとるんじゃーっ!??」

「ボクは何もしていないのですー。」
「うふふふ・・・分かったわ・・。今すぐワインとキムチを持ってきてあ・げ・る。」
「あぅあぅっ!!それだけはやめてなのです〜っ!!」





















「  う   ふ  ふ           ふ 
    ふ ふ ふ        ふふふふふ  
     ふふふ              ふ
 ふふふふふふふふふ       ふふ 
     ふふふ          ふふふふふ 
    ふ ふ ふ       ふふ  ふ  ふふ
   ふ  ふ  ふ           ふ        」
                 














「あぅぅううううっ!!!」

















「あぅあぅ・・ほふひのはははヒリヒリふるのれふ・・・。(お口の中がヒリヒリするのです)」
「はぁ、はぁ・・・ほほひひっははひは・・・?(思い知ったかしら?)」
「・・・梨花ちゃん。自分自身がまともにしゃべれなくなるほどキムチなんか食うな・・。それと身体の方はまだ5歳なんだからお酒もよくないぞ・・・。」
「ほ・・ほふへふほひは!ほふひふひほはひふははへふほへふ!(そ・・そうですよ!もうキムチとワインはやめるのです!)」
「ふふはひはへ・・!はいはいはふはは・・(うるさいわね・・!大体あんたが・・。)」
「・・羽入も羽入だ・・。いくら通常時は見えないからって・・後ろからほお擦りはやめろ・・。レナじゃあるまいし・・。」

・・まったく・・
眼を発動させないと声も聞こえないし感触だってない。
不思議な存在だぜ・・眼も、羽入も・・。


「それより梨花ちゃん、何か用があるんじゃなかったのか?」
「ほ・・ほふへひは!」
「・・・水を飲んで来い・・。それじゃ何を言っているのかよく分からん・・・。」
「・・・ははっはほへふ・・。」




「・・・お待たせ・・。」
「・・話せるようになったか。よし!何だ?」
「今日は暇だったわよね?」
「ああ。本格的に活動をするのは明日からだからな。」
「それじゃあ、身体を休めるのもこめて、私達と一緒に遊びましょう。いくら強い戦士だって、休息は必要よ?」
「・・・うん。分かった。 私達・・って・・梨花ちゃんと・・羽入とか?」
「いいえ。私と・・沙都子よ。羽入は遊べないし、それに今回は完全に無視してやるわ・・・。」
「あぅあぅ・・!そんなぁ。」
「はは。まぁ、ほどほどにな。羽入は無視されるのが一番嫌いらしいからな。」

「・・・まぁ・・考えておくわ・・。」








「梨花ーっ! ここですわ〜!」
「沙都子ー! 久しぶりなのです!」
「おーおー。この憎たらしい顔。こいつはまさしく沙都子だな!」
「な・・!初対面で憎たらしいなんて・・梨花!何なんですの!?この人は!」
「みぃ。圭一といいますです。」
「圭一さんと申しますのですか!?まったくあなたはどういう神経をしていらっしゃいますの!?」
「へっ!その性格は相変わらずのようだな!上等だ!思いっきりやってやるぞ!」
「みぃ〜☆ それでは何をして遊ぶか決めるのです☆」

「よーし!何をするよ!?俺は何だってかまわないぜ!!」
「私も何だってかまいませんわ!!この方をけちょんけちょんに叩きのめしてさしあげますわー!!」
「上等だぁ・・来い!沙都子!!」
「思い知らせてさしあげますわ!」


「では、何をしますですか?」
「そうだな。・・魅音がいれば結構簡単に決まりそうなんだが・・・。」
「・・?何故魅音さんがいると簡単に決まるんですの?」
「あいつがいつも決めていたからな。こっちは選ばずに済んだんだよ。」
「・・?圭一さんが何を言っているのかよく分かりませんわ・・?」
「・・気にするな。独り言だよ。」

「みぃ。それでは、まずは定番の鬼ごっこといくのです。30分後に鬼だった人には罰ゲームなのです☆」
「罰ゲームがあるんですの!?ま・・負けられませんわ〜!!必ず罰ゲームを受けさせてやりますわ!」
「だれがいつも罰ゲーム受けてる弱々男だって!?」
「・・そんな事言ってませんわ。でも・・誰とも言っていないのに怒っているという事は自分が弱いと認めているのと同じですわ!!これは楽勝ですわね!」
「沙ぁあぁあ都ぉぉおぉ子ぉぉおおおおお!!!貴様ー!やっぱりその性格はいつになっても同じなようだな!!叩きのめしてやるぜーっ!!」
「やれるものならやってごらんなさいませー!私は負けませんことよー?」
「よーしやってやろうじゃねぇか!!後で泣きべそかくんじゃねーぞっ!!!」


「「「ジャーンケーン」」」




「「「 ポンッ 」」」



「みぃ・・負けちゃったのです・・。」
「ち!俺が鬼になって沙都子をふんじばってやろうと思ったんだがなぁ!」
「圭一さん?それはストーカーですわ。」
「なんだと沙都子!!!」
「では圭一が鬼になってくれるのですか?」

「いやだ」

「みぃ・・・。」
「言ってる事とやってる事が違いますわね・・。呆れますわ・・。」
「へ!せっかく罰ゲームから逃れるチャンスをつかんだってのにわざわざ自分から受けにいくことはねーだろ!?部活ではその油断が命取りになるんだぜ!?」
「部活って・・さっきから何をおっしゃっていますの!?」
「後五年待て。そうすればおのずと答えは出てくるぞ。」
「・・わけが分かりませんわ・・。」
「みぃ。二人とも早く逃げるのです。逃げないと捕まえちゃうのですよ。」
「おっと!じゃあ逃げさせてもらうかな! ・・・っとそうだ。30分経ったという合図か何かはあるのか?」
「三十分後だとちょうど11時ですわね。それなら大丈夫ですわ。11時になると分かるようになってますから。」
「・・・?? そうなのか?」
「ま!圭一さんには分からないかもしれませんがねーっ!オーッホッホッホッホ!」
「うがーっ!!おのれ沙都子!!貴様みたいな奴にはデコピンの刑だーっ!!」
「いやあああ!話してくださいましーっ!」

「みぃ☆ 圭一捕まえたのです☆」


「・・・へっ!?」
「・・さっき逃げないと捕まえちゃうぞって言ったのです。鬼になったら30秒数えるのですよ。にぱ〜☆」
「オーッホッホッホッホ!圭一さんはおばかさんですわねぇ!」
「畜生・・沙都子め・・。絶対捕まえてやるぜ・・。」

「先に言っておきますが・・あの眼を使っては駄目ですよ?ボク達には勝ち目がありません。」
「うっ・・・。」
「・・???」

「それでは沙都子、行きましょう。圭一から逃げるのですよ。」
「ええ!」



二人とも行ってしまった・・。   ・・畜生・・まだこの辺の地形すら知らない俺が眼を封じられたとなれば
勝ち目なんてないぞ・・。
梨花ちゃんには5年後の俺達の記憶があるみたいだし・・罰ゲームと言ったら何をされるか分からないぞ・・。
どうする・・どうする・・・・。


「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・。」






「ハッ」


しまった・・。考えるのに集中しすぎてもう10分は経ってるじゃないか! 畜生っ!
「どこだ!?どこにいる!!」

くそっ!逃げる時間を与えすぎた!!どこにいるのかすら分からねぇ!
どこだ!?どこだ!?

「・・・・?」



「・・・っ!!」


「圭一。圭一。聞こえますか?」
「おう。聞こえるぜ。やっぱり羽入だったか。何のようだ?」
「圭一。教えてあげてもいいですよ。梨花たちの場所。」
「本当か!?」
「その代わり梨花にワインとキムチを食べないようお願いしてほしいのです。」
「買収されるのは気に食わないが・・まぁ・・会則第二条!!勝つためにはあらゆる努力をすることが義務づけられている!!だもんなぁ!」
「その通りなのです。こっちです。」
「梨花ちゃん達も逃げてるんじゃないのか?」
「梨花達は一箇所にとどまっているのです。おそらく圭一が来たら逃げるのでしょう。体力を回復しながら時がくるのを待ってます。」
「ちっ・・。梨花ちゃんもやるな・・!!だがまだまだだな!!」


ピッ



「・・・ん?今・・何かいや〜な音が・・」


フォン!!!


「うわっ!?こ・・これは・・・ 沙都子のトラップ!?」
縄が俺の足にまとわりつく!!
「うおおおおおおおおおおっ!!!」


俺は縄を無理矢理広げ、即座に縄を足からはずし、地面に転がった。
どうやら、あのままひっかかっていたら、そのまま宙吊りだったようだ。危ない危ない。

ズボッ



「・・・・・・。」


ドバッ!!


足場が崩れ、俺は落下した。落とし穴のようだ。
「ちょっと待てえええ!!何でこんな深い穴を掘って出て来れたんだ!?」
俺が落下した落とし穴は、ゆえに5〜8mくらいはあった。掘った後どうやって抜け出したのか知りたい。
というかよくこんなに掘ったなと賞をやりたい。

「ちくしょう・・。 ――――っ!!」

足に力を込めて、ジャンプして脱出した。もう眼の力をフルに使っている。
「・・・・・・なぁに。・・バレなきゃいいのさ。・・バレなきゃ。」
自分に言い聞かせ、そして俺はさらに進―――


 「うわっ!?」


俺の足が前に進まなくなった。足に・・藁でできた足を引っ掛けるベタなトラップが見事にヒットしている。
そして・・・・







「みぃ。圭一は今頃どうしているでしょうか。」
「今頃私の作ったトラップで悪戦苦闘している頃ですわ。 それより梨花、今何分くらいですの?」
「みぃ・・わかんないのです。11時になれば分かるのですよ。」
「11時まで後どれくらい逃げればいいのか分からないのはちょっといやですわね・・。」
「圭一はここまで絶対にこれないのですよ。」
「・・・そうですわね。 ・・・なんたって私達・・・・。」





「だああああああ!!!」




落とし穴にはまってしまった俺。
足を動けなくされ、転んだ。そして落下地点には落とし穴が掘ってあった。
もちろん深さは折り紙つき。さっき足の力を大分使ってしまったので、ジャンプして一気に・・なんて事が出来ない。
「うおおっ!!沙都子のトラップで身動き取れなくて罰ゲームなんて絶対嫌だ!!何としても抜け出してやるぅぅ!!」
土壁のでこぼこした部分をつかみ、今度は腕の力で上へのぼっていった。
「畜生・・!!あきらめねーぞおおお!!!」



その時。上からロープが降りてきた。

「・・・??」
「大丈夫かい?」

「あ・・あなたは・・・ 富竹さん!」
「これに捕まって上がってきなよ。自力で脱出はちょっと不可能だと思うよ。」
「そうさせてもらいます・・・。」


「ふーっ・・・。・・あれ?鷹野さんもいるじゃないですか。」
「?・・次郎さんといい私といい・・どうして私達の名前を知っているの?」
「え・・っ・・それは・・・。」


忘れるわけねーだろ・・。
ここへ来たのはあんた達が原因なんだから・・。

「えーと・・その・・何というか・・。」
「・・まぁいいわ。あなた、なんて言うの?」
「前原圭一です。」
「圭一君ね。よろしく。」
「僕の名前も知っていたから自己紹介はいらないね。よろしく。」
「よ・・よろしくお願いします。」

不思議な感覚だなー・・。
5年後では俺はこの人たちの事を知らなくて。だから名前も聞いたけど・・
5年前、俺に名前を知られていたんだからな・・・。

「君は何でまた、こんな深い穴に落ちていたんだい?」
「あー・・いや、あいつのトラップに見事にひっかかってしまいましてね・・。おかげであのありさまですよ。」
「面白そうな事をやっているわね。クスクス。」
「・・あ!!そうだ!俺鬼ごっこやってるんだった!すみません!11時まであと何分ですか!?」
「・・あと5分よ。」
「うわわわ・・まずい・・!」
「鬼ごっこをしているのよね?私達も混ぜてくれないかしら。」
「ええ!?・・まあ、いいですけど・・でも、一応二人に了解を取らないと。」
「じゃあ僕達も探すのを手伝おう。君の仲間になってあげるよ。」
「本当ですか!?助かりm


フォン!!!















「・・・助けてくださーい・・・。」

「・・・・。」
「・・・・。」







「沙都子ー。沙都子ー。」
「あ!にーにーですわ! おーいっ!にーにー!ここですわー!」
「・・?変だなぁ・・沙都子の声はするのに姿が見えないぞ・・?おーい。沙都子ー。」
「ああ!にーにー!待ってくださいましーっ!」
「沙都子ー。」


「ああ・・行ってしまいましたわ・・。でも、にーにーが来たって事はもう11時になったって事ですわね。」
「みぃ。悟史は11時からしかこれなかったのですから、このゲームはボク達の勝ちなのです☆」
「ええ。喜ばしいですわね!」
「みぃ。喜ばしいのです。」

















「私達が崖の下になんかいなければ・・・・ ・・・ですけど・・・。」



「・・・みぃ・・。」


「沙都子ー。」



「にーにー!!助けてくださいましーっ!!」


「むぅ・・?」
















「みぃ・・。ごめんなさいなのです・・。あの時ボクが足を踏み外さなければこんなことにはならなかったのです・・。」
「いいえ。梨花のせいじゃありませんわ。それに私達、死ぬときだって一緒ですわ。とことん付き合いますわよ。」
「沙都子・・・。」
「梨花・・・・。」


「おーい・・。お取り込み中か?」

「けっ圭一さん!?」
「みぃ☆圭一!助けてくださいなのですー!」
「ヘイヘイ。よっと・・。」


「えっ!?ちょ・・ちょっと!!」


ズドーン!!


「わわわわっ!!圭一さんが死んでしまいましたわーっ!!いくらなんでも飛び降りるなんてっ!」
「・・・・。」
「はー・・。お前らなんでこんな所にいるんだよ・・。」


「キャーっ!!バケモノォオオオオ!!!!!」


「なっ!!??化け物とは失礼な!!」
「だってだって!!あんな高さから落ちてるのに無事だなんて!化け物以外の何者でもありませんわーっ!」
「じゃああの崖の上から落ちた沙都子は化け物なんだな!?」
「・・あ・・・。」
「・・ったく・・。しっかり捕まってろよ!」


その後は足に力を込めてジャンプするだけ。
実に簡単な救出作戦となった。

「驚いたなぁ・・。圭一君、君は何者だい・・?こんな高い崖を一回のジャンプで上るなんて・・。」
「まぁ・・気にしないで下さい。今の俺はこれが普通なんですよ。」
「面白い子ね。クスクス・・。」
「あれ?三四さんに富竹さんもいますわ。こんにちわ。」
「こんにちわ。沙都子ちゃん。どうだろう。僕達も鬼ごっこに入れてもらえないかい?」
「みぃ?富竹も鬼ごっこがしたいのですか?」
「あら。私を忘れちゃいやよ。私だって鬼ごっこしたいんだから。」
「三四さんも鬼ごっこがしたいんですの・・?かわった方々ですわね。」
「野鳥の観察に来たんだけど、どうも暇になっちゃってね。そしたら圭一君が穴の下に落ちてたんで、助けたら、鬼ごっこをしているって聞いてね。」
「オーッホッホッホッホ!圭一さんはやっぱり私のトラップにひっかかっていたんですわねー!!」
「うあああやかましい!大体お前、どうやってあんな深い穴掘ったんだよ!?」
「簡単ですわ。近くの木にロープを結んで、もう片方を自分の腰に巻くんですの。梨花にも手伝ってもらいましたわーっ!」
「梨花ちゃんまでぇぇえええええ!!」
「みぃー☆圭一が怒ってしまったのです☆」
「それでは・・・罰ゲームの時間ですわよぉ?」
「みぃ・・・圭一を監禁してハァハァなのですよ・・・☆」
「・・・。梨花ちゃん?自分が何を言っているのか・・・分かってるのか・・?」
「みぃ。当然なのです。」

「・・梨花は何を言っているんですの?」
「・・・沙都子ちゃんは知らない方がいいよ。」
「クスクス。梨花ちゃんはもう大人ね。」
「・・??」



「うわ・・や・・やめろっ!来るな!!」
「みぃー・・・やめないし、そっちに行くのですよ・・。」


「うぎゃあああああっ!!!」













































「沙都子ー・・どこだーい?」
「あぅあぅ、ボクの出番はもう終わりですか?」































TIPS その後 2  を手に入れました。





        戻る